サワッディー カー! 中島マリンです
- 職業
- タイ語講師、通訳家、翻訳家
- 経歴
- Saint Joseph’s Convent High School(バンコク)卒業。亜細亜大学留学生別科日本語コース で1年間日本語を勉強後、早稲田大学に入学。卒業後、大手光学機器・医療機器メーカーに就職、海外営業部アジア地域を担当。タイ語・日本語ともにネイティブでNHK文化センター青山教室、東京外国語大学オープンカレッジ、成蹊大学、企業の語学研修などの講師を務める傍ら、法廷通訳や国際会議の通訳などを務める。
わたしが日本に来て感じたこと
わたしはタイ人・日本人の両親の間に生まれました。タイに住む家族と離れてわたしが日本に住むことになったのは、大学に入学したときです。
最初の1、2年は戸惑いばかり。タイ人と日本人の考え方や慣習の違いで、頭の中は大混乱でした。
タイ人はみな人懐っこく、表情が豊かで初対面の人とでも、すぐに心を開いて親しくなれます。自分のことをいろいろ話してくれたり、すぐ電話をしてきたり、家に呼んでくれたり…。一度会ったら“友人”になれるのがタイ人なのです。
ところが日本人は初対面の人に対してあまり馴れ馴れしくしません。感情をあまり表に出さず、少し距離を置いて様子を見て、親しくなるのに時間がかかります。
どうしてなのか理解できず、わたしと日本人の間には目には見えない厚い壁が立ちはだかり、なかなか乗り越えられなかったのです。
日本人が理解できたときが人生の転機でした
それでも月日が経つにつれ、親しい友人もできるようになり、たくさんの日本人との出会いにも恵まれました。
一度親しくなれば、日本人はみな思いやりがあり、様々なことを教えてくれたり、自分のことも話してくれます。わたしはタイ人も日本人も同じアジア人だから、人との接し方も同じだと勘違いしていたのですね。
日本人はシャイで、日本独自の礼儀を重んじているから簡単に心を開かなかったのかもしれない、実は日本人は温かい心を持っているのだとわかりました。そして厚かった壁は崩れ、心が晴れていったのです。
その頃から日本人とタイ人の文化や慣習の違いについて強く興味を抱き、日記のように文章をしたためるようになりました。
わたしの著書『タイのしきたり』は日本人が理解しにくいタイのしきたりを書いた本で、このときしたためていた「タイ人と日本人の考え方の違いについて」の文章が役立ったといえます。
タイ語講師になった理由
このようにわたしが日本で経験したことを通して感じたのは、言葉だけでなく、その国の人の考え方や文化を知ることが大切だということ。
タイ語を学ぶ日本人にもそのことを知ってほしいという願いからタイ語講師になりました。単に言語だけを学ぶだけでなく、タイをもっと知ってほしい、タイが大好きな日本人を増やしたいと思いながら教壇に立っています。
このようなわたしの考えがあったからか、今まで教えてきた生徒さんはステキな人ばかり。わたし自身も生徒さんも、“一緒にいて楽しいから”“一緒にタイ語を話したいから”クラスに集まっているのだと今、感じています。
これからタイ語を学びたいと考えているみなさんには、言語を学ぶと同時に、タイ人の考え方、文化、慣習を理解して世界を広げてほしい。これがわたしの願いです!